TensorFlowを使用して深層学習のモデルを訓練または推論する際に、’cudart64_100.dll not found’というエラーメッセージが表示されることがあります。このエラーは、CUDA Toolkitが正しくインストールされていないか、またはTensorFlowが必要とするバージョンと異なるバージョンがインストールされていることを示しています。この記事では、このエラーが発生した場合の対処法について詳しく説明します。具体的には、CUDA Toolkitのインストール方法、環境変数の設定方法、DLLファイルの確認と修正方法について説明します。これらの手順を踏むことで、’cudart64_100.dll not found’エラーを解消し、TensorFlowを正常に動作させることが可能になります。それでは、次のセクションでエラーの原因について詳しく見ていきましょう。
エラーの原因
‘cudart64_100.dll not found’エラーは、主に以下の2つの原因で発生します。
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CUDA Toolkitがインストールされていない: TensorFlowはGPUを使用して計算を高速化するために、NVIDIAのCUDA Toolkitを必要とします。このツールキットがインストールされていない場合、TensorFlowは必要なDLLファイルを見つけることができず、上記のエラーメッセージが表示されます。
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CUDA Toolkitのバージョンが適切でない: TensorFlowは特定のバージョンのCUDA Toolkitを必要とします。たとえば、TensorFlow 2.0はCUDA 10.0を必要とします。したがって、異なるバージョンのCUDA Toolkitがインストールされている場合、TensorFlowは必要なDLLファイルを見つけることができず、エラーが発生します。
これらの問題を解決するためには、適切なバージョンのCUDA Toolkitをインストールし、環境変数を正しく設定する必要があります。次のセクションでは、CUDA Toolkitのインストール方法について詳しく説明します。
CUDA Toolkitのインストール
CUDA Toolkitのインストールは、NVIDIAの公式ウェブサイトから行うことができます。以下に、その手順を説明します。
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NVIDIAの公式ウェブサイトにアクセスし、CUDA Toolkitのダウンロードページを開きます。
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ダウンロードページでは、いくつかのオプションが提示されます。ここで重要なのは、TensorFlowが必要とするバージョンのCUDA Toolkitを選択することです。たとえば、TensorFlow 2.0の場合、CUDA 10.0を選択します。
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必要なバージョンを選択したら、ダウンロードをクリックしてインストーラをダウンロードします。
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ダウンロードが完了したら、インストーラを実行してCUDA Toolkitをインストールします。インストール中には、CUDA Toolkitがインストールされるパスをメモしておくと便利です。
これでCUDA Toolkitのインストールは完了です。しかし、まだTensorFlowがCUDA Toolkitを見つけられるようにするための設定が必要です。次のセクションでは、環境変数の設定方法について詳しく説明します。
環境変数の設定
CUDA Toolkitをインストールした後、TensorFlowがCUDA Toolkitを見つけられるようにするためには、環境変数の設定が必要です。以下に、その手順を説明します。
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コンピュータのシステムプロパティを開きます。これは、コントロールパネルからアクセスすることができます。
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システムプロパティの中にある「環境変数」ボタンをクリックします。
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環境変数のウィンドウが開いたら、「新規」ボタンをクリックします。
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新規環境変数の名前には「Path」を入力し、値にはCUDA Toolkitがインストールされたパスを入力します。このパスは、CUDA Toolkitのインストール中にメモしたものです。
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「OK」ボタンをクリックして、新規環境変数を保存します。
これで、TensorFlowはCUDA Toolkitを見つけることができるようになります。しかし、まだDLLファイルが正しく配置されているかどうかを確認する必要があります。次のセクションでは、DLLファイルの確認と修正方法について詳しく説明します。
DLLファイルの確認と修正
CUDA Toolkitのインストールと環境変数の設定が完了したら、次にDLLファイルが正しく配置されているかを確認する必要があります。以下に、その手順を説明します。
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CUDA Toolkitがインストールされたフォルダに移動します。このフォルダは、CUDA Toolkitのインストール中にメモしたパスです。
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その中にある
bin
フォルダを開き、cudart64_100.dll
という名前のファイルが存在することを確認します。 -
ファイルが存在しない場合、またはバージョンが異なる場合は、適切なバージョンの
cudart64_100.dll
ファイルをダウンロードし、このフォルダに配置します。
これで、cudart64_100.dll not found
エラーが解消されるはずです。しかし、エラーが解消されたかどうかを確認するためには、TensorFlowを再度実行してみる必要があります。次のセクションでは、エラー解消の確認方法について詳しく説明します。
エラー解消の確認
エラーが解消されたかどうかを確認するためには、TensorFlowを再度実行してみる必要があります。以下に、その手順を説明します。
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TensorFlowを使用しているプログラムを開きます。
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プログラムを再度実行します。
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‘cudart64_100.dll not found’エラーが表示されないことを確認します。
エラーが表示されなければ、問題は解消されたと言えます。しかし、まだエラーが表示される場合は、前述の手順を再度確認し、必要ならばCUDA Toolkitの再インストールを検討してみてください。
以上が、’cudart64_100.dll not found’エラーの解消方法になります。この記事が皆さんの問題解決の一助となれば幸いです。それでは、最後のセクションでまとめを行いましょう。
まとめ
この記事では、TensorFlowを使用している際に遭遇する可能性のある’cudart64_100.dll not found’エラーの解消方法について説明しました。このエラーは、CUDA Toolkitが正しくインストールされていないか、またはTensorFlowが必要とするバージョンと異なるバージョンがインストールされていることを示しています。エラーの解消には、適切なバージョンのCUDA Toolkitのインストール、環境変数の設定、そしてDLLファイルの確認と修正が必要です。これらの手順を踏むことで、エラーを解消し、TensorFlowを正常に動作させることが可能になります。それぞれの手順は複雑に感じるかもしれませんが、一つ一つ丁寧に進めていくことで、問題は必ず解決します。この記事が皆さんの問題解決の一助となれば幸いです。それでは、Happy TensorFlowing!