縦持ちデータと横持ちデータの違い
データ分析において、データの形式は非常に重要です。特に、縦持ちデータと横持ちデータの違いを理解することは、データの操作や分析を行う上で必要不可欠です。
縦持ちデータ
縦持ちデータ(またはロングフォーマットデータ)は、各行が一つの観測値を表す形式のデータです。この形式では、各列は異なる変数を表し、各行はそれらの変数の一つの観測値を表します。縦持ちデータは、データが時間経過と共に収集される場合や、同じ観測対象から複数の測定値が得られる場合によく使用されます。
横持ちデータ
一方、横持ちデータ(またはワイドフォーマットデータ)は、各行が一つの観測対象を表し、各列がその観測対象の異なる特性や測定値を表す形式のデータです。この形式は、各観測対象が一意であり、それぞれの特性や測定値が一度だけ測定される場合に適しています。
これらの形式の違いを理解することで、データの操作や分析がより効率的になります。Pandasのpivot_table
関数は、縦持ちデータを横持ちデータに変換するのに役立ちます。次のセクションでは、この関数の使い方について詳しく説明します。
Pandasのpivot関数とpivot_table関数
Pandasライブラリには、データの形状を変更するための便利な関数がいくつかあります。その中でも、pivot
関数とpivot_table
関数は特に重要です。
pivot関数
pivot
関数は、データフレームの列を新しいインデックス、列、値に変換するための関数です。この関数は、以下のような形式で使用します。
df.pivot(index='列1', columns='列2', values='列3')
ここで、列1
は新しいインデックス、列2
は新しい列、列3
は新しい値を表します。この関数は、縦持ちデータを横持ちデータに変換するのに役立ちます。
pivot_table関数
一方、pivot_table
関数は、pivot
関数と同様にデータフレームの列を新しいインデックス、列、値に変換しますが、集約関数(平均、合計など)を適用する能力があります。この関数は、以下のような形式で使用します。
df.pivot_table(values='列1', index='列2', columns='列3', aggfunc='mean')
ここで、列1
は新しい値、列2
は新しいインデックス、列3
は新しい列を表し、aggfunc
は適用する集約関数を表します。この関数は、複数の観測値が存在する場合に縦持ちデータを横持ちデータに変換するのに役立ちます。
これらの関数を理解し、適切に使用することで、データ分析の効率と精度を向上させることができます。次のセクションでは、pivot_table
関数の具体的な使い方と例について詳しく説明します。
pivot_table関数の使い方と例
Pandasのpivot_table
関数は、データフレームの列を新しいインデックス、列、値に変換し、集約関数を適用するための強力なツールです。以下にその基本的な使い方と例を示します。
基本的な使い方
pivot_table
関数は以下の形式で使用します。
df.pivot_table(values='列1', index='列2', columns='列3', aggfunc='mean')
ここで、
– values
は新しい値を表す列名
– index
は新しいインデックスを表す列名
– columns
は新しい列を表す列名
– aggfunc
は適用する集約関数(デフォルトはmean
)
例
以下に具体的な例を示します。ここでは、ある会社の従業員の情報を含むデータフレームを考えます。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'部署': ['営業', '営業', '人事', '人事', '技術', '技術'],
'役職': ['マネージャー', 'スタッフ', 'マネージャー', 'スタッフ', 'マネージャー', 'スタッフ'],
'給与': [500, 300, 400, 200, 600, 350],
'勤続年数': [5, 3, 4, 2, 7, 3]
})
# pivot_table関数の使用
pivot_df = df.pivot_table(values='給与', index='部署', columns='役職', aggfunc='mean')
このコードを実行すると、各部署のマネージャーとスタッフの平均給与が計算され、新しいデータフレームpivot_df
が作成されます。
これらの例から、pivot_table
関数がどのようにデータの形状を変更し、集約を行うかを理解できるでしょう。次のセクションでは、pivot_table
関数のパラメータと返り値について詳しく説明します。
pivot_table関数のパラメータと返り値
Pandasのpivot_table
関数は、データフレームの列を新しいインデックス、列、値に変換し、集約関数を適用するための強力なツールです。以下にその主要なパラメータと返り値について説明します。
パラメータ
values
: 新しい値を表す列名を指定します。この列の値が集約されます。index
: 新しいインデックスを表す列名を指定します。この列の値が新しいデータフレームの行インデックスになります。columns
: 新しい列を表す列名を指定します。この列の値が新しいデータフレームの列インデックスになります。aggfunc
: 適用する集約関数を指定します。デフォルトはmean
ですが、他にもsum
、min
、max
などが使用できます。
返り値
pivot_table
関数は、新しいデータフレームを返します。このデータフレームは、指定したindex
とcolumns
に基づいて行と列がインデックス付けされ、values
列の値がaggfunc
によって集約されます。
これらのパラメータと返り値を理解することで、pivot_table
関数を効果的に使用し、データ分析の効率と精度を向上させることができます。次のセクションでは、pivot_table
関数とpivot
関数の実例について詳しく説明します。
pivot_table関数とpivot関数の実例
以下に、Pandasのpivot
関数とpivot_table
関数の使用例を示します。
pivot関数の使用例
まずは、pivot
関数の使用例から見ていきましょう。以下のデータフレームを考えます。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'商品': ['リンゴ', 'リンゴ', 'バナナ', 'バナナ', 'みかん', 'みかん'],
'店舗': ['店舗A', '店舗B', '店舗A', '店舗B', '店舗A', '店舗B'],
'価格': [100, 120, 200, 180, 50, 60]
})
このデータフレームをpivot
関数を用いて変換します。
pivot_df = df.pivot(index='商品', columns='店舗', values='価格')
このコードを実行すると、商品ごとに店舗Aと店舗Bの価格が列として表示される新しいデータフレームpivot_df
が作成されます。
pivot_table関数の使用例
次に、pivot_table
関数の使用例を見ていきましょう。以下のデータフレームを考えます。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'商品': ['リンゴ', 'リンゴ', 'リンゴ', 'バナナ', 'バナナ', 'バナナ', 'みかん', 'みかん', 'みかん'],
'店舗': ['店舗A', '店舗A', '店舗B', '店舗A', '店舗A', '店舗B', '店舗A', '店舗A', '店舗B'],
'価格': [100, 110, 120, 200, 210, 180, 50, 55, 60]
})
このデータフレームをpivot_table
関数を用いて変換します。
pivot_table_df = df.pivot_table(values='価格', index='商品', columns='店舗', aggfunc='mean')
このコードを実行すると、商品ごとに店舗Aと店舗Bの平均価格が列として表示される新しいデータフレームpivot_table_df
が作成されます。
これらの例から、pivot
関数とpivot_table
関数がどのようにデータの形状を変更し、集約を行うかを理解できるでしょう。これらの関数を適切に使用することで、データ分析の効率と精度を向上させることができます。次のセクションでは、これらの関数の具体的な使用例について詳しく説明します。