NaN値とは何か
NaNは “Not a Number” の略で、数値ではない値を表します。これは、定義できない数値演算の結果や、データが欠損している場合に使用されます。例えば、0で割った結果や、数値データが欠損している場所などです。
Pythonでは、numpy
ライブラリの numpy.nan
を使って NaN 値を表現します。Pandasでは、この numpy.nan
を使ってデータフレーム内の欠損値を表現します。これにより、欠損値を含むデータでも、統計的な計算やデータの可視化を行うことが可能になります。
ただし、NaN値は特殊な性質を持っており、NaN値と他の任意の値(NaN値自身を含む)を比較すると、結果は常にFalseとなります。そのため、NaN値の存在を確認する際には、numpy.isnan()
関数などを使用する必要があります。これらの特性を理解しておくことは、データ分析を行う上で非常に重要です。
PandasでNaN値を挿入する方法
Pandasでは、numpy.nan
を使ってデータフレーム内の特定の位置に NaN 値を挿入することができます。以下に具体的な手順を示します。
まず、PandasとNumpyをインポートします。
import pandas as pd
import numpy as np
次に、データフレームを作成します。
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, 3],
'B': [4, 5, 6],
'C': [7, 8, 9]
})
このデータフレームでは、各列に3つの値が含まれています。ここで、’B’列の2番目の値を NaN に変更したいとします。以下のように行います。
df.loc[1, 'B'] = np.nan
これで、’B’列の2番目の値が NaN になりました。データフレームを表示して確認してみましょう。
print(df)
出力結果は以下のようになります。
A B C
0 1 4.0 7
1 2 NaN 8
2 3 6.0 9
以上のように、PandasとNumpyを使って、簡単にデータフレーム内の特定の位置に NaN 値を挿入することができます。ただし、NaN値を挿入することでデータの統計的な性質が変わる可能性があるため、注意が必要です。
NaN値を使用する際の注意点
NaN値をデータ分析に使用する際には、以下のような注意点があります。
-
比較演算: NaN値は他の任意の値(NaN値自身を含む)と比較すると、結果は常にFalseとなります。そのため、NaN値の存在を確認する際には、
numpy.isnan()
関数などを使用する必要があります。 -
統計的な計算: NaN値は統計的な計算に影響を与えます。例えば、平均値や合計値などを計算する際に、NaN値が含まれていると結果が歪む可能性があります。Pandasでは、
mean()
やsum()
などの関数はデフォルトでNaN値を無視しますが、これによりデータの本来の特性が失われる可能性があります。 -
データの可視化: NaN値はデータの可視化にも影響を与えます。NaN値が含まれているデータをプロットすると、欠損値がある部分は描画されません。これにより、データの分布や傾向が正しく反映されない可能性があります。
以上のように、NaN値を使用する際には注意が必要です。NaN値を適切に扱うことで、欠損値を含むデータでも有意義な分析を行うことが可能になります。