pandas.DataFrame.queryの基本的な使い方
pandasのDataFrameオブジェクトには、query
という便利なメソッドがあります。このメソッドを使うと、文字列で表現された条件を指定してデータを抽出することができます。
以下に基本的な使い方を示します。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'A': range(1, 6),
'B': range(10, 60, 10),
'C': range(100, 600, 100)
})
# queryメソッドを使用してデータを抽出
result = df.query('A <= 3 and B > 20')
print(result)
このコードでは、’A’列の値が3以下であり、かつ、’B’列の値が20より大きいデータを抽出しています。
query
メソッドは、複雑な条件を指定する際に非常に便利です。ただし、列名にスペースや特殊文字が含まれている場合、または列名がPythonの予約語と同じ場合には、バッククォート()で列名を囲む必要があります。例えば、列名が'average score'の場合、
queryメソッド内では\
average score`のように指定します。
pandas.DataFrame.queryのパラメータ
pandasのquery
メソッドは、以下の主要なパラメータを持っています。
-
expr : このパラメータは、データを抽出するための条件を指定します。文字列で指定し、複数の条件を指定する場合は、
and
やor
を使って結合します。 -
inplace : このパラメータは、データフレーム自体を変更するかどうかを指定します。デフォルトは
False
で、新しいデータフレームが返されます。True
を指定すると、元のデータフレームが変更されます。 -
engine : このパラメータは、計算エンジンを指定します。デフォルトは
None
で、pandasが自動的に最適なエンジンを選択します。他のオプションとしてはpython
とnumexpr
があります。 -
kwargs : このパラメータは、追加の引数を指定します。これは、
query
メソッド内で使用する変数を指定するために使用されます。
以下に、これらのパラメータを使用した例を示します。
import pandas as pd
# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
'A': range(1, 6),
'B': range(10, 60, 10),
'C': range(100, 600, 100)
})
# queryメソッドを使用してデータを抽出
value = 3
result = df.query('A <= @value and B > 20', inplace=False)
print(result)
このコードでは、query
メソッドのexpr
パラメータに条件を指定し、inplace
パラメータにFalse
を指定して新しいデータフレームを返すようにしています。また、kwargs
パラメータを使用して、query
メソッド内で使用する変数value
を指定しています。この変数は、@
記号を前につけてexpr
内で使用します。この例では、’A’列の値が変数value
(3)以下であり、かつ、’B’列の値が20より大きいデータを抽出しています。
pandas.DataFrame.queryでのデータ抽出の例
以下に、pandas.DataFrame.query
メソッドを使用したデータ抽出の具体的な例を示します。
import pandas as pd
import numpy as np
# データフレームの作成
np.random.seed(0)
df = pd.DataFrame({
'A': np.random.randint(1, 100, 100),
'B': np.random.randint(1, 100, 100),
'C': np.random.randint(1, 100, 100)
})
# 'A'列が50以上、'B'列が30以下のデータを抽出
result1 = df.query('A >= 50 and B <= 30')
print(result1)
# 'C'列が'A'列と'B'列の和より大きいデータを抽出
result2 = df.query('C > A + B')
print(result2)
# 'A'列が偶数のデータを抽出
result3 = df.query('A % 2 == 0')
print(result3)
このコードでは、query
メソッドを使用して、さまざまな条件を満たすデータを抽出しています。具体的には、’A’列の値が50以上であり、かつ、’B’列の値が30以下であるデータ、’C’列の値が’A’列と’B’列の和より大きいデータ、’A’列の値が偶数であるデータをそれぞれ抽出しています。
このように、query
メソッドを使用すると、複雑な条件を指定してデータを抽出することが可能です。これにより、データ分析の幅が広がります。ただし、query
メソッドは内部で評価を行うため、大規模なデータフレームに対しては実行速度が遅くなる可能性があります。そのため、大規模なデータフレームを扱う場合は、他の方法(例えば、ブールインデックス)を検討することをお勧めします。また、query
メソッドの使用は、コードの可読性を向上させるため、小規模なデータフレームやプロトタイピングには特に適しています。
pandas.DataFrame.queryの注意点と制限
pandas.DataFrame.query
メソッドは非常に便利ですが、いくつかの注意点と制限があります。
-
列名の制限 :
query
メソッドでは、列名にスペースや特殊文字が含まれている場合、または列名がPythonの予約語と同じ場合には、バッククォート()で列名を囲む必要があります。例えば、列名が'average score'の場合、
queryメソッド内では\
average score`のように指定します。 -
大規模なデータフレーム :
query
メソッドは内部で評価を行うため、大規模なデータフレームに対しては実行速度が遅くなる可能性があります。そのため、大規模なデータフレームを扱う場合は、他の方法(例えば、ブールインデックス)を検討することをお勧めします。 -
@記号の使用 :
query
メソッド内で外部変数を参照する際には、変数名の前に@記号をつける必要があります。しかし、@記号はPythonのデコレータとしても使用されるため、混乱を避けるためには注意が必要です。 -
NaNの扱い :
query
メソッドでは、NaN(Not a Number)は浮動小数点数として扱われます。そのため、整数列にNaNが含まれている場合、その列は浮動小数点数列として扱われ、整数としての操作(例えば、ビット演算)ができなくなります。
以上のような制限と注意点を理解しておくことで、pandas.DataFrame.query
メソッドをより効果的に使用することができます。これらの制限と注意点を考慮に入れながら、query
メソッドを使用してデータ分析を行いましょう。このメソッドは、データの抽出やフィルタリングを行う際に非常に便利なツールです。ただし、その使用は適切な状況とタスクに限定されるべきです。それ以外の場合には、他のpandasの機能を使用することを検討してください。これにより、より効率的で効果的なデータ分析が可能になります。