Trimmed Meanとは何か

Trimmed Mean(切り捨て平均)は、データセットの平均を計算する際に、データの両端から一定の割合を除外して計算する方法です。これは、データの外れ値の影響を減らすために使用されます。

具体的には、データセットを昇順に並べ替え、上位と下位の一定のパーセンテージ(例えば、5%)を取り除きます。そして、残ったデータの平均値を計算します。この方法は、データの分布が非対称である場合や、外れ値が平均値を歪める可能性がある場合に特に有用です。

数学的には、Trimmed Meanは以下のように定義されます。データセットを $$X = {x_1, x_2, …, x_n}$$ とし、これを昇順に並べ替えたものを $$X’ = {x’1, x’_2, …, x’_n}$$ とします。ここで、$$p$$ を取り除くパーセンテージ(例えば、0.05)とすると、Trimmed Mean $$\mu$$ は以下のように計算されます。

$$
\mu_{T} = \frac{1}{n – 2pn} \sum_{i=pn+1}^{n-pn} x’_i
$$

この式は、データセットの上位と下位 $$pn$$ 個のデータを除外し、残ったデータの平均値を計算しています。このように、Trimmed Meanはデータの中心傾向をよりロバストに推定するための一つの方法です。ただし、どの程度のデータを取り除くか(つまり、$$p$$ の値)は、データの特性や目的によります。

PythonでのTrimmed Meanの計算方法

Pythonでは、scipyライブラリのstatsモジュールにあるtmean関数を使用してTrimmed Meanを計算することができます。以下にその使用例を示します。

import numpy as np
from scipy import stats

# データセットの作成
data = np.array([1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10])

# Trimmed Meanの計算
trimmed_mean = stats.tmean(data, (np.percentile(data, 5), np.percentile(data, 95)))

print(trimmed_mean)

このコードでは、まずnumpyscipy.statsをインポートしています。次に、データセットを作成し、そのデータセットの5パーセンタイルと95パーセンタイルを計算しています。これらのパーセンタイルは、tmean関数の第二引数として渡され、この範囲内のデータの平均値(Trimmed Mean)が計算されます。

この方法で、Pythonを使用してデータセットのTrimmed Meanを簡単に計算することができます。ただし、どのパーセンタイルを使用するかは、データの特性や分析の目的によります。また、scipy.stats.tmeanはデータの両端から同じ割合を取り除くことを前提としています。データの一方の端だけから取り除きたい場合は、適切なパーセンタイルを指定する必要があります。

PandasでのTrimmed Meanの計算方法

Pandasでは直接的なTrimmed Meanの計算関数は提供されていませんが、Pythonの機能を組み合わせてTrimmed Meanを計算することができます。以下にその使用例を示します。

import pandas as pd
import numpy as np
from scipy import stats

# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
    'data': [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10]
})

# Trimmed Meanの計算
trimmed_mean = stats.tmean(df['data'], (np.percentile(df['data'], 5), np.percentile(df['data'], 95)))

print(trimmed_mean)

このコードでは、まずpandasnumpyscipy.statsをインポートしています。次に、データフレームを作成し、そのデータフレームの特定の列(ここでは'data'列)の5パーセンタイルと95パーセンタイルを計算しています。これらのパーセンタイルは、tmean関数の第二引数として渡され、この範囲内のデータの平均値(Trimmed Mean)が計算されます。

この方法で、Pandasを使用してデータフレームの特定の列のTrimmed Meanを簡単に計算することができます。ただし、どのパーセンタイルを使用するかは、データの特性や分析の目的によります。また、scipy.stats.tmeanはデータの両端から同じ割合を取り除くことを前提としています。データの一方の端だけから取り除きたい場合は、適切なパーセンタイルを指定する必要があります。

実用的な例

以下に、PythonとPandasを使用してTrimmed Meanを計算する実用的な例を示します。この例では、あるクラスのテストのスコアについて考えます。テストのスコアは一部の学生が非常に高いスコアを取得したため、平均スコアが歪んでしまっています。このような場合、Trimmed Meanを使用して中心傾向をより正確に把握することができます。

import pandas as pd
import numpy as np
from scipy import stats

# テストのスコアデータ
scores = [56, 88, 78, 90, 89, 74, 95, 88, 92, 77, 78, 76, 100, 80, 85]

# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
    'scores': scores
})

# 通常の平均
mean = df['scores'].mean()
print(f"Mean: {mean}")

# Trimmed Mean(上下5%を除外)
trimmed_mean = stats.tmean(df['scores'], (np.percentile(df['scores'], 5), np.percentile(df['scores'], 95)))
print(f"Trimmed Mean: {trimmed_mean}")

このコードを実行すると、通常の平均とTrimmed Meanの両方が出力されます。Trimmed Meanは、外れ値の影響を受けにくいため、このような状況でデータの中心傾向をより正確に表現することができます。ただし、Trimmed Meanを使用する際は、どの程度のデータを取り除くか(つまり、パーセンタイルの値)を適切に選択することが重要です。この値は、データの特性や分析の目的によります。また、Trimmed Meanはデータの両端から同じ割合を取り除くことを前提としています。データの一方の端だけから取り除きたい場合は、適切なパーセンタイルを指定する必要があります。

投稿者 kitagawa

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です